看護師のためのクレーム対応マニュアル1 医療現場の現状

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看護師

看護師として働いていると、患者さんからのクレームが辛いと感じることがあるでしょう。最近ではモンスターペイシェントの問題も指摘されているため、看護師のクレーム対応が求められます。今回は、患者さんからのクレーム内容と、その対処方法についてご紹介いたします。

 

主なクレームの内容

看護師②

看護師が受けるクレームは、入院や外来の患者さんから受けることがあります。例えば、次のようなクレームが発生する可能性があります。

話を聞いてくれない

入院患者さんと話していると、病気や入院中の問題による相談ではなく、世間話となるケースがあります。毎日の生活で悩みを抱えており、誰かに聞いて欲しいという気持ちはわかりますが、看護師としては1人の患者さんのみに付き合うことはできません。結果的に患者さんにとって物足りないものとなり、クレームとなる場合があります。

看護師にはどうしようもない問題

ほかにも入院患者さんは、看護師にはどうしようもない「食事が美味しくない」「部屋が汚い」などのクレームを言ってくることがあります。入浴回数の問題や、ほかの患者さんとのトラブルもあるでしょう。個室を使っていれば、差額ベッド代に関するクレームが来る恐れがあります。

食品の対応の問題

入院と外来患者さん共通で見られるクレームは、職員の対応の内容です。「きちんと説明してくれない」「愛想がない」などのクレームが発生する場合があります。診察や検査がある場合は、待ち時間で怒りだす患者さんもいるでしょう。ときには、患者さんのミスを看護師のせいにして、クレームを言ってくる場合も少なくありません。

クレーム対応からの学び

看護師③

患者さんからクレームが来る理由は、患者さんの期待していた内容とは違ったためです。クレームと聞くと嫌なイメージをもってしまいますが、よく話を聞くことで患者さんの希望がどうなのか知るキッカケになります。

クレームは問題点把握になる

特定の患者さんだけのクレームなら、その患者さんだけが感じる問題だったのでしょう。それが複数の患者さんからのクレームになれば、病院や看護師に何か問題があると判断できます。患者さん1人ひとりの声に耳を傾けることで、大きなクレームへと発展するのを防ぐことができるでしょう。クレームは、病院や看護師側が気づかない問題を指摘してくれています。病院の人間は、どうしても病院視点となりやすく、問題に気が付かない場合があります。患者さんのクレームは第三者からの視点で、病院関係者にはわからない問題が含まれているのです。

クレームの中には隠れた問題も

多くの人は、クレームを言う行為自体にストレスを感じています。本人に直接クレームを言うことができず、別の看護師に対しクレームを言ってくる可能性があるでしょう。看護師自身がミスをしたわけでなくても、患者さんのクレームには問題と解決策が含まれていると考えるべきなのです。患者さんにとって、看護師は病院の関係者です。その看護師に問題がなくても、病院全体のクレームとしてみなされています。

 

サービスの概念

病院の患者さん

看護師のサービスは、基本的サービス・期待的サービス・創造的サービスの3つが基本です。それぞれ、どのようなサービス内容なのか理解しておくと、患者さんからのクレームに対処しやすくなります。

基本的サービス

看護師の基本的サービスとは、治療を原則として「ミスをしない」「公平な対応をする」「情報を漏らさない」といった3つの要素のことです。来院する患者さんは治療しに来ているため、最低限ミスをしないのは当然のことでしょう。看護師のミスは新人ほどしやすいと感じますが、ベテランでもミスは発生します。慣れから確認を怠りやすいため、ミスを防ぐための確認ルールを決めておきましょう。メモを取る、再確認するなどの習慣づけが必要です。患者さんへの対応は、1人が特別だと感じられないよう、公平な対応を心がけましょう。相手によって態度を変えないようにすれば、患者さんが不公平を感じにくくなります。誰でも話しやすい人はいますが、ほかの患者さんへも同じような気持ちでいることが大切です。そして、看護師は患者さんに対する守秘義務があります。病院内で情報を漏らさないのと同時に、プライベートでも守るようにしましょう。情報漏洩リスクは、どこで発生するかわからないのです。

期待的サービス

期待的サービスとは、患者さんの期待を裏切らない対応のことです。誰もが病院を選ぶ場合に、「この病院なら大丈夫だろう」と考えています。地域によっては1つしか病院を選べないこともありますが、多くのケースでは複数の病院を比較して選んでいます。病院を選んだ理由は、患者さん一人ひとりによって異なるでしょう。「親切な対応をしてくれる」「気持ちをわかってくれる」などの想いがあります。ところが、患者さんは看護師に不満があっても、簡単に言うことはできません。本音を言えないからこそ不満をもちやすく、クレームの発生となります。クレームを防ぐ目的から看護師は、患者さんの期待を裏切らない努力が求められます。看護師は幅広い知識を得る努力をして、患者さんのニーズに答えられるようにしなければなりません。どのような患者さんにも対応できるよう、勉強や知識を広めていく努力が必要です。

創造的サービス

創造的サービスとは、本来は提供する必要はないが、看護師が機転を利かせるサービスのことです。患者さん自身が希望として伝えなくても、一歩先を考えたサービスをすることを指します。例えば、即入院を告げられた患者さんに対し、不安を和らげる言葉をかける対応が挙げられます。患者さんは、仕事や家庭のことで心配しているかもしれません。どのような対応方法があるのか提示すれば、患者さんの不安は軽くなります。入院中の患者さんも、いろいろな不安を抱えているかもしれません。ご家族が来ているのか、早く退院したいと考えているのではないかなど、患者さんの心を読むようにします。1人で不安そうなら看護師がご家族に電話することができますし、退院で悩んでいるなら早められるか医師に相談することができるでしょう。創造的サービスは、看護師の経験を活かすことができます。患者さんが知らない情報を利用し、便利な方法の提示や不安を取り除く対処をしましょう。常に一歩先を見るようにすると、患者さんに気の利いた医療を提供することができます。

 

続きとして、『看護師のためのクレーム対応マニュアル2』はこちら

 

まとめ

看護師にとって、患者さんからのクレーム対応は頭を悩ます問題でしょう。しかし、なぜ患者さんがクレームを言ってくるのか理由を知っておけば、対処することができます。看護師に求められるのは、患者さんの気持ちを読み取る力です。クレームを言うのは何か不安や問題を抱えているからで、クレーム内容が直接的な原因ではない場合があります。患者さんが何を希望しているのか読み取れば、満足感の高い医療が提供できるでしょう。医療機関が求められる3つのサービス内容を確認して、それぞれ対応できるようにしてください。基本的サービスを満たすのは当然のことで、一歩先を進んだ期待的サービスや創造的サービスを満たすようにしましょう。

 

ライター情報

小林・40代

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