看護師のためのクレーム対応マニュアル8 お詫びのタイミングと話し方

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医療スタッフに対する暴力や暴言等のクレームが増加し医療現場はその対応も行わなければなりません。また「モンスターペイシェント」の存在もマスコミ等で取り上げられるようになりました。今回のコラムではそのような問題の概要について紹介させて頂きます。

看護師①

看護師のクレーム対応は、お詫びの言葉からスタートするようにしましょう。謝罪の言葉を伝えてから、患者さんごとに必要な対応に変えていきます。お詫びの言葉は、相手を気遣うための言葉であり、必ずしも謝罪の意味だけではありません。または、道義的に責任を認めて、謝罪と今後の対応を伝えなければならない場合もあるでしょう。大きなトラブルに発展した際の対応も覚えておくと、クレーム対応がしやすくなります。

詫び言葉の意味

看護師②

謝罪の意味とは限らない

看護師のクレーム対応では、患者さんに対し謝罪の意味がない言葉をかける場合があります。相手を思いやる言葉かけが必要なら、謝罪の意味とは限りません。具体的には、長く待たせてしまった患者さんに対し、次のような言葉をかけます。「長くお待たせして申し訳ございません、身体で辛いところはありますか?」クレームを言ってくる患者さんの本当の希望は、早く呼ばれることではない可能性があるためです。病院を受診される方の中には、熱がある・身体がだるいという症状がある方もいます。長く待合室で過ごしているのが辛く、看護師に声をかけている可能性があるでしょう。患者さんの考えを汲み取り、一歩進んだ声掛けをすることで、本当の問題解消に繋がります。また待たされている患者さんの中には、不安を感じている場合もあるでしょう。そのような患者さんには、「ずっとお待ちで申し訳ございません、あと何分で案内できるか確認してまいります」という言葉かけが求められます。すると、患者さんは放っておかれていなかったことがわかり、安心するでしょう。気に留めてくれる心遣いがあると、患者さんは長く待たされていても安心していられるものです。

道義的に責任を認めて

看護師が患者さんのクレームに対応する際、責任を認めなければならない場合があります。道義的に考えて、看護師側に問題があれば、素直に謝罪すべきです。病院側に非があるなら、心からお詫びの言葉を伝えましょう。例えば、説明不足があった、話し方の対応が悪かったなどの問題の場合です。患者さんの多くは医療の知識が乏しく、このままの治療で大丈夫なのか不安を抱えているかもしれません。何度も同じ治療だからといって、説明を省いていいとは限りません。また看護師の話し方が馴れ馴れしすぎる、堅苦しすぎる場合もトラブルのもとです。患者さんによっては、馬鹿にされた、話しづらいと感じている方もいます。これらのクレームを患者さんから言われたら、謝罪の言葉を伝えてください。病院側に非があるとは、こちら側に悪意がない場合も含めます。ミスだとわかる問題ではなくても、患者さんに誤解を与えてしまったのなら、謝罪しなければなりません。責任を認めて謝罪したら、どのように対処するのか説明しましょう。患者さんは謝罪を聞きたいのではなく、現状をどう変えられるのか知りたいのです。具体策を提示することで、患者さんは安心してくれます。

社会的責任(組織的責任)を伴うもの

看護師のクレーム対応の中には、社会的責任を伴う場合があります。事態が悪化してしまい、病院全体の問題に発展した場合は、謝罪だけでは済みません。社会的責任に発展するトラブルとは、医療ミスなど患者さんに大きな損失を与えた場合です。最悪の場合は、訴訟にまで発展するかもしれません。病院全体に関わるトラブルは、看護師が勝手に判断せず、責任者に対応を求めるようにしてください。トラブルの直接的な原因は、コミュニケーション不足によるものが多いことがわかっています。とくに大きな病院になるほど、患者さんへの業務が事務的になり、コミュニケーションが足りていないことも多いです。態度が悪いといった小さなトラブルから、大きな問題に発展する可能性もあるでしょう。また患者数が多くなる時間帯も、ミスが起こりやすくなっています。短い時間で対応しなければならず、一人ひとりの対応が疎かになってしまうためです。確認も怠りやすいため、忙しい時間帯こそ気を引き締める必要があります。謝罪では済まない大きなトラブルに発展した場合は、上司や責任者に相談してください。患者さんも、責任者の立場から謝罪されれば、誠意が伝わりやすいでしょう。

 

管理職の役割

看護師③

社会的責任を伴う場面では、管理職の出番です。管理職が前に出ることで、患者さんも看護師も安心感が得られます。小さなクレームなら、対応者の謝罪だけで済む可能性があります。患者さんが納得できない様子でも、誠意をもった謝罪をすれば、受け入れてくれるでしょう。ただし、最初に当たった看護師の対応が悪ければ、患者さんはさらに怒り出すかもしれません。新人の看護師だと、クレーム対応に慣れておらず、うまく対応できない場合があります。患者さんの不安や怒りが収まらないときは、管理職が対応しなければなりません。上の立場の職員が出てくれば、患者さんが納得しやすい受け答えができるためです。最後に管理職が対応してくれる現状があれば、看護師としても安心できるでしょう。誰もが最初からクレーム対応をうまくできるとは限らないため、最後の砦が必要です。管理職の対応は、患者さんにとっても誠意が伝わりやすく、看護師にとっても安心感があります。

 

まとめ

看護師④

患者さんからクレームを言われたら、どんな謝罪が必要なのか考えましょう。謝罪の言葉だけで済ませないで、患者さんの本当の不安や怒りに目を向けることが大切です。患者さんの多くは、クレームを言いたいわけではありません。我慢の限界が来ている場合や、不安が収まらないときにクレームに繋がっているだけです。患者さんの本当の問題が解決できなければ、クレーム対応できたとはいえないでしょう。不満が残ったままの患者さんは、次回で同じような問題を抱えているかもしれません。

患者さんの問題はその場で解消するようにして、次回に持ち込ませないようにします。看護師がクレーム対応をするときは、状況を見て必要な対応をするようにしてください。大きな問題へと発展する可能性がある場合は、個人で対応せず上司や責任者に相談しましょう。対応に迷ったときも、上司に相談する癖をつけておくと、クレーム対応で怖がらずに済みます。上司や責任者の対応があれば、患者さんも看護師も安心して対応することができます。

 

ライター情報

小林・40代

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