看護師のためのクレーム対応マニュアル7 クレーム対応に必要な情報とは

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医療スタッフに対する暴力や暴言等のクレームが増加し医療現場はその対応も行わなければなりません。また「モンスターペイシェント」の存在もマスコミ等で取り上げられるようになりました。今回のコラムではそのような問題の概要について紹介させて頂きます。

看護師①

患者さんやご家族からクレームを言われた場合は、情報が不可欠です。情報とは、客観的事実や主観的事実があるため、それぞれ使い分ける必要があります。どのような情報を得る必要があるのか、具体的な内容をご紹介します。

 

情報とは

看護師②

事実(客観的事実)

患者さんやご家族と会話する際には、5W2Hを用いるようにします。5H2Wとは、Who(だれが)When(いつ)Where(どこで)What(なにを)Why(なぜ)How(どのように)という意味です。これらの順番で話を進めていくと、事実把握がしやすくなります。患者さんがクレームを言ってきたときは、誰がいつどこで何をしたのか、なぜそうなったのか、どのように問題が起きているのか聞くようにしましょう。細かな状況を聞くことで、患者さんやご家族も情報を伝えやすくなります5H2Wを用いる理由は、患者さんやご家族が問題を話してくれるとは限らないからです。こちら側から情報を引き出す助けとして、5H2Wを用います。すると、患者さんやご家族がどのような状況だったのか、どのような問題を抱えているのか理解できます。話をきちんと聞いてくれる姿勢を見せるだけでも、患者さんやご家族は安心するでしょう。対応する前に、「どんなことなのか詳しく話していただけますか?」と伝えるのも有効です。怒りや不安を抱えている人は、気持ちを伝えようとしても、うまく言葉にできないことがあります。そのことから、看護師は5H2Wを使って、順序だてて患者さんやご家族から話を聞くようにしてください。

 

考え(主観的事実)

患者さんやご家族から客観的事実を確認したら、次は主観的事実を把握します主観的事実を考えるときは、「事実」と「考え」を必ず分けるようにしてください。事実とは、起きてしまった現状のことです。患者さんに長く待たせてしまった、ご家族に説明不足で不安を与えてしまったなどの事実です。どんなに説明しても、事実は変えられないため、事実があったことを受け止めましょう。そのうえで、患者さんやご家族の感情に目を向けるようにします。事実は変えることはできませんが、感情は状況に応じて変えることができるからです。看護師の対応ひとつで、患者さんが納得するか、怒り続けるかが変わってきます。事実確認ができたら、共感する言葉を投げかけるようにします。「そうだったのですか?」「それは大変でしたね」などの言葉をかけられると、相手は安心するでしょう。問題があった事実は変えられなくても、看護師が共感することはできます。相手に共感したうえで、謝罪の言葉を伝えれば、誠意は伝わります。患者さんやご家族も、クレームを言っても事実を曲げられないことはよく理解しているはずです。重要なのは気持ちを理解してもらうことであり、状況を変えることではない場合が少なくありません。

意思・感情

患者さんやご家族から話を聞いてから、きちんと謝罪しましょう。謝罪する際は、「申し訳ございません」と謝罪の言葉だけを伝えるのではなく、何を謝罪しているかの言葉も付け加えます。「お待たせして申し訳ございません」「説明不足で申し訳ございません」といった謝罪の言葉です。謝罪したうえで、相手の気持ちに寄り添う対応をします。相手が納得した対応にならないのは、気持ちを理解してくれていないためです。表面的な謝罪だけでは、相手も「ただ謝っただけ」だと受け止められる可能性があります。クレームの原因は、もしかしたら患者さんやご家族の勘違いだったかもしれません。それでも、勘違いを直接指摘することはしないで、相手の感情に共感するようにします。相手の言葉を反復すると、気持ちを理解してくれたと患者さんは感じるでしょう。患者さんやご家族の勘違いだった場合は、誤解を繰り返さない対処も必要です。ご自分で誤解に気づくよう促すと、相手の気持ちを害することがなく、同じクレームを繰り返さずに済みます。

 

説得の前提としての理論

看護師③

患者さんやご家族のクレームに対し説明する場合は、前提としての理論があります。法的思考力と、世間感覚の2つの理論です。患者さんやご家族の中には、事実とは異なるのに、法的措置を取ろうとするケースがあります。医療裁判や民事訴訟に発展するリスクも考慮して、対応している看護師は証拠を残すようにしてください。この場合も、5H2Wの情報をもとにメモを取る、または録音という措置がいいでしょう。情報を残しておけば、仮に裁判に持ち込まれても勝てる可能性があります。「裁判に勝てるか」で考えるのは嫌な気持ちかもしれませんが、適切な病院経営のため必要なことです。理不尽な対応を求める患者さんやご家族に対しては、法的措置が必要なこともあります。またクレームの情報があれば、改善や対策にも繋げることができます。患者さんやご家族から話を聞くときは、世間感覚として、解釈の別れる部分での判断をあらかじめ定めましょう。判断を決める理由は、個人により受け止め方が異なる部分があるためです。医療は物の提供ではなくサービスとなるため、人により受け止め方の感覚が異なります。同じ対応に統一することで、患者さん全体に一貫した対応が可能です。人によって対応が異なれば、不満や不安が出る要素となるため、あらかじめ決めておくようにします。

 

まとめ

看護師④

患者さんやご家族からのクレームは、順を追っての対応が必要です。まずは、事実を確認するため、相手から情報を引き出すようにしましょう。話を聞くときは、5H2Wを使って聞き出すと、必要な情報を得ることができます。クレーム対応では、事実を変えるのは難しいので、感情に訴えることが大切です。患者さんやご家族としても、事実を変えられないのは理解しており、気持ちをわかって欲しいという想いがあります。相手の気持ちに寄り添う対応を心がけていれば、トラブルが起きても大きな問題には発展しにくいものです。看護師としても100%患者さんの希望に寄り添うことはできませんが、気持ちを配慮することはできるでしょう。またクレーム対応は、法的思考力や世間感覚を前提として対応してください。裁判に持ち込まれたときのことを考えるのは、病院や看護師の立場を守るためです。さらに患者さんに一定の対応方法を決めておけば、できること・できないことが明確になり、クレーム対応しやすくなるでしょう。

続きとして、『看護師のためのクレーム対応マニュアル8』はこちら

ライター情報

小林・40代

 

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