入院設備のある場所はもちろん、日中だけ開業している場所でも業務の中に「申し送り」が入ってきます。
勤務すれば毎回行うことになる申し送りは、新人看護師がつまずくポイントです。今回は誰にでも実践できる申し送りノートの書き方を紹介するので、新人看護師はもちろん、久しぶりに看護師業界に復職する方も参考にしてください。
第1ステップ 定型文を決めよう
ベテラン看護師が転職した場合は、当日でも「申し送りをして」と言われる場合がありますが、就職や復職をしたその日に申し送りをすることは滅多にありません。
定型文を決めるためには、申し送りをしなくていいこの時期を有効活用する必要があります。職場に看護師共有の申し送りノートがある場合は、先輩が過去に記載した申し送りを参考にしましょう。
看護師共有のノートがない場合は、自分で作成したノートを元に口頭で引き継ぐことになりますが、先輩の申し送りの様子を見学して定型文を決める必要があります。
申し送りは勤務する場所によって、伝え方や伝える順番などに誤差が生じることが多いです。そのため、今まで培ってきた申し送り技術が通用しないこともあると覚えておきましょう。
定型文を決めるために重要なポイントは以下の通りです。
・申し送りをする内容の順番
・申し送りで話している内容
先輩が申し送りで話している内容を把握できていれば、勤める病院の申し送りレベルを知ることができます。
勤務場所によっては、申し送りミスをなくすためにカルテや申し送りノートを見て分かる内容まで毎回申し送る場所もあります。
一方で、「自分で情報収集できる内容は自分で情報収集をしてね」というスタイルの勤務場所もあるため、自分が就職した先がどのようなレベルの申し送りを行うのか把握しておくのも大事なことです。
第2ステップ 申し送る内容を決めよう
先輩の申し送り技術を盗んで、自分用の定型文が作成できたら申し送る内容を考えます。申し送り忘れを防ぐためにも、担当した患者様のその日に起こった内容を全て伝えるのがベストです。
しかし、第1ステップで紹介した「情報収取で得られる情報は伝えない」というスタイルの職場で一から申し送りをしてしまうと、自分の評価が下がります。
そのような職場では、申し送りを受ける側の看護師も勤務前に情報収集を行うのが一般的で、一から説明してしまうと二重で伝えることになり、無駄な時間になってしまうのです。
スムーズに必要なことだけを申し送るためにも、ポイントを決めて申し送るようにしましょう。
絶対に伝えたい重要ポイントは以下の通りです。
・担当患者の変化(バイタルサインなどの一般状態)
・医師から受けた指示(治療内容や処置内容の変化など)
・今後の検査予定(近日中のものや重要な検査のみ)
・新たに入院してきた患者様情報
上記以外の内容は、伝える相手の勤務態度や性格などにもよりますが、知っていることがほとんどなので伝えなくてもいいでしょう。
心配な方は申し送り最中に「この情報は知っていますか?」と一言聞く事で、申し送りミスを減らすことができます。もちろん、自分の職場が情報を一から申し送るスタイルであれば上記の重要ポイント以外にも患者様の全てを伝える必要があります。
新たに入院してきた患者様に関する情報は、申し送りを聞く側の看護師も全く知らない内容のため、全て申し送るのが鉄則です。
新たな入院患者様に関して申し送る場合は、以下のような内容を伝えましょう。
・名前、年齢、性別などの基本情報
・家族構成(キーパーソンは誰か)
・看護、介護に関わるサービスの利用有無
・既往歴
・病名、現病歴、症状の有無
・アレルギーの有無(アレルギーがある場合は内容まで)
・処置内容(必要な処置がある場合)
・手術に関すること(手術を行う場合のみ、手術日程や術式など)
・インフォームドコンセントが済んでいるか
入院してくる患者様の情報は多く、上記以外にも臨機応変に対応することが求められます。最初に担当した看護師が申し送り忘れをしてしまうと、その後の看護や医療に影響してしまう場合があるため、注意しましょう。
第3ステップ テンプレートに当てはめて申し送ろう
第2ステップで決めた内容を第1ステップで作成したテンプレートに当てはめます。第2ステップまで完了すれば、申し送りができる状態になるまでもう少しです。
テンプレートと内容がしっかりできていれば、第3ステップはすぐに終わります。口頭で伝えるのが苦手な方は、メモ帳などに文章を書いておくのが有効です。業務に追われてテンプレートに当てはめる余裕がない場合でも申し送りができるように、ある程度頭で考える必要もあります。
毎回テンプレートに頼るのではなく、ある程度スムーズに申し送りができるようになったら、ステップ2の申し送る内容を見ただけで申し送れるように訓練するといいでしょう。
まとめ
ここまで紹介してきた3ステップを踏むことで、申し送りは必ずできるようになります。
あとは落ち着いてしっかりと相手に伝えるだけです。初めての申し送りや慣れない間は誰でも緊張しますが、相手に確実に情報を伝えることだけを考えて申し送りを実践してみてください。