すぐに使える看護計画の書き方【具体的例文付き】| 認知症高齢者の看護計画

この記事を読むのにかかる時間: 2

看護師にとって重要、けれど難題な「看護計画」。

特に高齢者ケアの現場で働く看護師の方は、成人看護との違いに頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。

高齢者の看護は成人看護とは違い、疾患、認知症、身体状況や精神状態の症状などを踏まえて看護をする必要があります。

特に重要なポイントは、「現在の身体能力と精神力をどう維持し、QOLを高めていくか」というところです。

この記事では、認知症高齢者に対する看護計画書の見本を基に、看護計画書の具体的な書き方やそのポイントを解説します。

高齢者ケアにおける看護師の役割などを整理して、明日からの看護に役立てていきましょう。

 

看護計画の目的


看護計画は、患者の状態を総合的に捉え、個別化された看護を提供するための基本的なプロセスです。看護師が適切な判断を下し、効果的なケアを行うために欠かせない計画です。これにより、患者の回復を促進し、生活の質(QOL)の向上を目指します。

特に高齢者の場合、様々な健康の課題が重なり合い、生活背景や家族の介護負担などの外的要因も影響します。そのため、高齢者に特化した看護計画は、患者の身体的・精神的な健康状態だけでなく、社会的要素や環境要因も考慮する必要があります。

高齢者のADL(Activities of Daily Living)自立は、日常生活の質を維持する上で重要な指標です。

高齢者ケアにおける看護師の役割は、ADL自立の維持や向上を支援することで、高齢者の生活の質(QOL)を高めることにあります。

 

高齢者看護計画の書き方【基本とポイント】


看護計画は、一般的に以下の5つの段階で構成されています。これらのステップを踏むことで、効果的な看護計画を立案することができます。

 

アセスメント

患者の情報を収集し、問題を明確化する段階です。このプロセスは、看護計画の基礎となります。

 

情報収集の方法

  • 主観的データ: 患者が直接伝える内容(例: 「痛みがある」「疲れやすい」)
  • 客観的データ: 看護師が観察・測定した内容(例: 血圧、体温、行動パターン)

 

高齢者に特化したポイント

  • 家庭環境 :家族の支援体制や住宅のバリアフリー状況
  • 認知機能 :記憶力、判断力の低下の有無
  • 社会的要素:孤立の有無、デイサービス利用の頻度など

 

アセスメントの具体的なポイントについては下記記事を参考にしてください。

関連記事:看護師に必要なアセスメントのコツとポイント

 

看護診断

患者の情報をもとに、看護師の視点で患者が直面している問題や潜在的なリスクを特定します。

 

看護診断のポイント

  • 患者の反応に焦点を当てる(例: 身体可動性の障害、不安)。
  • 医学的診断ではなく、患者の生活や心理に基づく診断とする。

 

看護診断の構成例

  • 問題: 患者が抱える課題(例: セルフケア不足)。
  • 関連因子: 問題を引き起こしている原因(例: 筋力低下、右片麻痺)。
  • 定義特性: 問題を示す具体的な症状や徴候(例: 自力での更衣困難)。

 

目標設定

患者が達成すべき目標を設定します。

目標は、短期目標と長期目標に分けると、進捗状況を明確に把握しやすくなります。

 

SMART基準に基づく目標設定のポイント

S(Specific)     : 具体的であること

M(Measurable)  : 測定可能であること

A(Achievable)  : 達成可能であること

R(Relevant)   : 患者にとって重要であること

T(Time-bound)  : 時間枠が明確であること

 

目標設定例

1週間以内に看護師の補助を受けながら安全に車椅子移動ができるようになる。

 

看護介入と計画・評価

目標を達成するために、具体的な看護行動を計画します。

 

直接介入

例: 日常生活動作(ADL)の練習を行う

 

間接介入

例: 家族へのケア方法の指導、補助具の導入

 

評価

看護介入の効果を測定し、目標が達成されたかを確認します。

達成されていない場合、原因を分析し、看護計画を修正します。

 

高齢者看護計画書の見本と書き方解説


高齢者看護計画書を書く際に考慮するポイント

身体的特徴: 筋力低下、可動域制限、複数の慢性疾患。

認知的特徴: 記憶力や判断力の低下、認知症のリスク。

心理的特徴: 孤立感や不安感。

 

高齢者看護計画に記載するべきポイント

患者がどの程度自立して行動できるか(ADL評価)

家庭や地域での支援体制

 

看護計画書【見本】


患者情報

  • 年齢  : 75歳
  • 状態  : 右片麻痺、軽度の認知症、不安を訴える
  • 生活背景: 同居家族なし、訪問介護利用中

アセスメント

主観的データ

「右足が動かなくて歩けない」と不安を訴える

 

客観的データ

右側上下肢の麻痺

日常生活動作の多くに介助が必要


看護診断

身体可動性障害

関連因子: 右片麻痺、筋力低下

定義特性: 自力での移動困難、転倒リスクが高い

 

セルフケア不足(更衣、排泄)

関連因子: 片麻痺による動作制限

定義特性: 更衣や排泄時に介助を要する

 

不安

関連因子: 身体機能の低下、将来への不安

定義特性: 消極的な態度、精神的不安定さ


目標設定

身体可動性障害

短期目標: 1週間以内に看護師の介助下で車椅子移動が可能になる。

長期目標: 1か月以内に自力で車椅子移動ができるようになる。

 

セルフケア不足

短期目標: 3日以内に部分的な介助で更衣ができるようになる。

長期目標: 1か月以内に更衣や排泄動作が自立する。

 

不安

短期目標: 1週間以内に不安を訴える頻度が減少する。

長期目標: 1か月以内に日常生活への意欲が向上する。


看護介入

身体可動性障害への介入

理学療法士と連携し、個別リハビリプログラムを提供。

車椅子移動の補助練習を行う。

 

セルフケア不足への介入

更衣や排泄時に動作を段階的に指導。

補助器具(手すり、リーチャー)を活用。

 

不安への介入

傾聴を通じて患者の思いを受け止める。

環境を整え、安心感を提供。


評価

1か月後の評価として、以下を確認します。

・車椅子移動が安全に行えるようになったか。

・更衣や排泄時の介助が減少したか。

・不安の訴えが減り、生活への意欲が向上したか。


 

高齢者看護計画書の書き方 まとめ


看護計画は、患者の状態に応じた個別化されたケアを提供するための基本です。

特に高齢者の看護計画では、身体的・認知的特性や生活背景を考慮した包括的な視点が求められます。

看護師としての知識と経験を活かし、患者の生活の質を向上させるケアを実践していきましょう。

 

看護師研修会のご紹介


ふじのくに静岡看護師求人ナビでは、参加費無料の看護師研修会を定期的に開催しております。

ここでしか聞けない看護業界の最新情報がお得に聞けるチャンスです。

 

関連記事:看護師研修会開催情報

 

ふじのくに静岡看護師求人ナビで無料相談承ります


ふじのくに静岡看護師求人ナビでは、最新情報や明日から使える看護師のお仕事お役立ち情報をお届け。さらに、現在の働き方への疑問や相談を永年無料で承っております。

会員様には単発で働けるお得な案件も随時ご紹介中。

まずはお気軽にご相談ください。

ふじのくに静岡看護師求人ナビ

静岡県の看護師専門の求人サイト!
  • 地域専門のコンサルタントがいるから安心!
  • 無料で転職の相談ができる!
  • 便利なマイページ機能あり!派遣で働いた分だけポイントを貯めてボーナスにできる♪
ふじのくに静岡看護師求人ナビ
link 関連記事

求人 人気キーワード