看護師の残業問題を解決!残業代の計算・未払い対策・転職のコツを紹介

大場 浩史

この記事を読むのにかかる時間: 2

「看護師の残業は当たり前」と思っていませんか?

医療現場では人手不足や急患対応などで残業が発生しやすく、多くの看護師が長時間労働に悩んでいます。しかし、残業の多さが当たり前になってしまうと、心身の負担が増し、仕事の満足度やライフワークバランスにも影響を及ぼします。

本記事では、看護師の残業代の計算方法や法律の基礎知識、未払い残業の対処法について詳しく解説します。また、「残業が少ない職場の特徴」や「転職時のチェックポイント」についても紹介し、より良い働き方を実現するためのヒントをお届けします。

「今の職場の残業がつらい」「残業代が適正に支払われているか不安」「少しでも残業を減らしたい」と感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

看護師の残業は他職種よりも多い


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看護師は他の業種と比べて残業時間が比較的多く、問題視されています。
残業が多いと「体力が続かない」「疲れがとれないまま次の勤務に出なければならない」など、身体的な負担が大きくなり、離職率の高さにもつながっています。
離職率の高い職場は慢性的な人員不足になりやすく、「休みがとりにくい」「人間関係が難しい」などメンタルヘルスの問題も抱えやすい状態です。

 

看護師の残業の実態


看護師は他の業種よりも残業が多いと言われますが、日本看護協会が行った「看護職員実態調査」によると、看護師の残業時間は平均17.4時間で、一般労働者(平均13.2時間)の約1.3倍の長さです。
この数字から見ても、確かに看護師は残業が長い職種と言えます。

しかし、全ての職場の看護師が長時間の残業で悩んでいるわけではありません。
この章では、残業の多いまたは少ない職場、職位・年齢による残業時間の違いをデータをもとに紹介します。

 

残業が多い職場・少ない職場は?


看護師の残業時間は職場により異なるため、日本看護協会実施の「看護職員実態調査」のデータを参考に、残業時間の長い職場と短い職場を紹介します。

職場 平均残業時間
行政 34.1
看護系教育機関 27.7
病院 16.9
訪問看護ステーション 16.7
介護施設 14.1
その他 13.6
診療所 13.6
助産所 2.0

行政の平均残業時間が34.1時間と最も多く、最も少ないのは助産所の2時間との結果でした。
職場により平均残業時間に大きく差があることがわかります。

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職位による残業時間の違いは?

職位とは、役割を明確にするための職場でのポジションをさします。
権限や責任の範囲を明らかにして、上下関係や報告すべき上司をはっきりさせ、職場でのコミュニケーションを取りやすくするものです。

看護師の職場での職位によっても、残業量に差があります。
日本看護協会が行った「看護職員実態調査」をもとに、残業時間の平均を比較してみます。

 

職位による残業時間の比較

・非管理職(平均14.4時間)
・中間管理職(平均23.3時間)
・管理職(平均28.8時間)

看護師の職位は、看護主任・看護師長・看護部長などがあり、スタッフ数の多い職場ではさらに副主任・副師長・副部長を置くこともあります。
この中で、看護部長が最も上の立場で管理職にあたります。

管理職が最も残業時間が長い原因に、担当する職場の看護師の業務管理に加えて、看護師の教育・採用などの業務も担当していることがあげられます。
自分の部下にあたる看護師の残業時間を減らすため、自らが残業し、超過勤務を増やす傾向にあることも、管理職の残業時間が多い原因でしょう。

 

年齢による残業時間の違いは?

看護師の年齢によっても残業時間の長さに差があります。
この点も、日本看護協会実施の「看護職員実態調査」を参考に、年齢別の残業時間を比較します。

<年齢による残業時間の比較>
・20~29 歳(平均14.5 時間)
・30~39 歳(平均14.7 時間)
・40~49 歳(平均19.3 時間)
・50~59 歳(平均20.2 時間)
・60 歳以上(平均16.6 時間)

50~59歳が最も残業時間が長く、これは看護師としての経験が豊富になり職場で管理職につく人が多いためです。
業務量の調整や時間管理のできる立場ではあるものの、管理職の責任や負担から、超過勤務が増える傾向にある年齢です。

60歳以上の看護師も残業時間がある程度長いことから、年齢を重ねても看護師の仕事を続ける人は増えているとわかります。
しかし年齢とともに超過勤務は体力・精神のどちらにも負担が大きく、無理に続けると、健康面の問題が生じるおそれがあります。

 

看護師の残業が多い原因は?


看護師の労働環境により残業時間の長さは異なりますが、看護師の仕事そのものが持つ特性が残業時間が増える大きな原因でしょう。
この章では、看護師の残業が多くなりやすい原因について紹介します。

 

看護師の慢性的な人員不足のため

看護師は多くの職場で慢性的な人員不足の問題を抱えており、残業が当たり前になっている職場すらあります。
人員不足の職場では看護師ひとりが担当する患者数は多くなり、患者それぞれのケアにかける時間を十分に取れず、その結果残業になってしまいます。

また人員不足は休みの取りづらさにもつながり、予定があって休みたくても思うように休めず、中には休日に残業するケースもあるほどです。

 

交代制勤務の引き継ぎのため

夜勤のある職場では、2交代制または3交代制の勤務体制をとっており、業務の引き継ぎに時間が必要です。
夜勤スタッフから日勤スタッフへ、夜間に起きたトラブルや患者の急変の状況を正しく伝えるには、引き継ぎにどうしても時間がかかり、残業が発生しやすくなります。

日勤スタッフから夜勤スタッフへの引き継ぎも同様で、勤務時間中の業務が長引けばさらに残業時間も増えるでしょう。

 

看護記録など書類の作成のため

看護師の日常的な業務のひとつに、看護記録や医師の指示書など、書類作成や入力業務があります。
これらの業務は勤務時間内に終わらないケースが多く、残業になってしまいがちです。

勤務時間中は患者の対応に時間をさきがちなので、どうしても事務的な作業は後回しになり、残業してこなすからです。

 

急変対応のため

患者の容態急変はいつ起きるかわからず、勤務時間中に急変があった場合はすみやかな対応が必要です。
取り組んでいる業務の緊急性が低い場合、その患者のもとへかけつけて必要な処置をします。
担当患者ではなくても必要に応じて急変の対応にあたるため、看護師は残業が発生しがちです。

重症患者や高齢者が多い病棟ほど、急変対応の頻度は上がり、無病床のクリニックほど低くなります。

 

院内研修・勉強会のため

院内研修や勉強会は看護師のスキルアップに必要なものですが、勤務時間外に行うケースが多く、残業になります。
しかし全ての研修・勉強会に対して残業代を支給する施設は少なく、看護師が不満を抱く原因のひとつです。
新人研修も同様で、時間外の実施かつ残業代が出ないケースも多くなっています。

 

看護師の残業代の計算方法と法律の基礎知識


看護師の残業代は労働基準法に基づいて計算され、適正に支払われるべきものです。しかし、残業代の仕組みを知らないと、適正に支払われないケースもあります。

ここでは、基本的な法律と計算方法について解説します。

 

労働基準法における残業の定義

労働基準法では、1日8時間・1週40時間を超える労働が「時間外労働(残業)」に該当し、割増賃金の支払い義務が生じます。

  • 時間外労働(残業): 通常の労働時間を超える労働 → 割増率 25%
  • 休日労働: 法定休日(週1日以上)に働いた場合 → 割増率 35%
  • 深夜労働: 22時~翌5時の労働 → 割増率 25%(時間外労働の場合は合算され50%)

 

看護師の残業代の計算方法

残業代の計算は、以下の式で求めることができます。

残業代 = 1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間

 

 

例: 基本給30万円、所定労働時間160時間/月の看護師が20時間残業した場合

  1. 時給換算: 300,000円 ÷ 160時間 = 1,875円
  2. 残業代計算: 1,875円 × 1.25(割増率)× 20時間 = 46,875円

 

このように、残業代は通常の時給よりも高い金額が支払われることになります。

 

看護師の残業代未払いへの対処法


看護師の職場では、「サービス残業(未払い残業)」が問題になることがあります。残業代が適正に支払われていないと感じた場合、以下の方法で対処できます。

  • 勤務記録をつける(タイムカードや日報を保管)
  • 給与明細を確認する(時間外労働手当が適正に支払われているか)
  • 労働基準監督署に相談する(未払い残業がある場合の相談窓口)

もし、明らかに残業代が支払われていない場合は、労働基準監督署への申告や、弁護士・労働組合の活用も検討しましょう。

 

残業が少ない職場の特徴と転職のポイント


残業が多い職場に疲弊している場合、「残業が少ない職場」へ転職するのも一つの選択肢です。

では、残業の少ない職場にはどのような特徴があるのでしょうか?

 

残業が少ない職場の特徴

人員配置が適切である
→ 人手不足の病院・施設は残業が増える傾向がある

業務効率化が進んでいる
→ 電子カルテ、看護記録のICT化が進んでいる職場は残業が少ない

急性期病棟よりも慢性期・療養型病棟
→ 急変対応の多い急性期病棟は残業が発生しやすい

定時退勤を推奨する文化がある
→ 定時で帰ることが普通の職場は、サービス残業も少ない

 

転職時のチェックポイント

転職を考える際には、以下のポイントを事前にチェックすると、残業が少ない職場を見つけやすくなります。

🔍 求人情報の「残業時間」表記を確認
→ 「月10時間以内」「ほぼ残業なし」などの記載があるか

🔍 職場見学や面接で質問する
→ 「1日の業務スケジュール」などを質問

🔍 口コミサイトや知人の情報を活用する
→ 実際に働いている人の評判をチェック

転職を検討している場合は、事前に情報収集をしっかり行い、自分に合った職場を見極めることが大切です。


看護師アンケート

転職エージェントの力を借りて新たな職場を探すことも、ひとつの方法です。
現在の職場で働きながら転職先を探したい場合、多忙で情報収集の時間の確保が難しくても、転職エージェントが代わりに行います。

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希望に合う転職先探しに対するプロからのアドバイスは、転職成功への近道です。
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まとめ


看護師の残業が多すぎる問題を解決するには、看護師が個人で取り組む方法や職場側が行う方法などさまざまな選択肢があります。
担当業務の効率化など個人でできる内容には限りがあり、施設側による改善策として、スタッフの適性配置・ワークライフバランスの導入・最新技術の活用なども必要です。

残業についてお困りの看護師の方は、ふじのくに静岡看護師求人ナビにご相談ください。
転職したほうが良いのか、新しい職場を探すか、まずはそこから一緒に考えていきましょう。

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著者プロフィール

大場 浩史 株式会社アクタガワHRM コンサルタント

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地元の大学(教育学部)卒業後、大学職員として、学生の相談業務、社会人講座運営業務に従事。そこで、就業支援に興味を持つ。 その後、政令指定都市の市長政務秘書として、各種団体や企業、 一般の方のご相談等に乗り「人と人を繋いでいく」事を学び、就業支援の実践の場として当社に転職、現在に至る。 日本応用心理学会認定応用心理士。

監修者プロフィール

酒井 隆之 株式会社アクタガワHRM コンサルタント

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大学卒業後、静岡県の大手求人情報誌発行会社に営業、制作として従事。 県内のあらゆる業種の求人開拓、詳細なヒアリングからの求人広告を制作。 またグループ会社の人材派遣・紹介会社で営業、コーディネーターを担当。 人材ビジネスに15年以上身を置くその経験と実績から、 転職者の可能性を広げる幅広いサポートを行っている。
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