看護師の残業は多い?残業の少ない職場は?残業の実態とその原因を解説

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看護師の残業は他職種よりも多い

看護師は他の業種と比べて残業時間が比較的多く、問題視されています。
残業が多いと「体力が続かない」「疲れがとれないまま次の勤務に出なければならない」など、身体的な負担が大きくなり、離職率の高さにもつながっています。
離職率の高い職場は慢性的な人員不足になりやすく、「休みがとりにくい」「人間関係が難しい」などメンタルヘルスの問題も抱えやすい状態です。

この記事では、看護師が残業が多い理由や、残業を減らすための工夫について解説します。
残業を減らして働くための方法として、看護師の転職も紹介しています。

看護師の残業の実態

看護師は他の業種よりも残業が多いと言われますが、日本看護協会が行った「2021年 看護職員実態調査」によると、看護師の残業時間は平均17.4時間で、一般労働者(平均13.2時間)の約1.3倍の長さです。
この数字から見ても、確かに看護師は残業が長い職種と言えます。

しかし、全ての職場の看護師が長時間の残業で悩んでいるわけではありません。
この章では残業の多いまたは少ない職場、職位・年齢による残業時間の違いをデータをもとに紹介します。

残業が多い職場・少ない職場は?

看護師の残業時間は職場により異なるため、日本看護協会実施の「2021年 看護職員実態調査」のデータを参考に、残業時間の長い職場と短い職場を紹介します。

職場 平均残業時間
行政 34.1
看護系教育機関 27.7
病院 16.9
訪問看護ステーション 16.7
介護施設 14.1
その他 13.6
診療所 13.6
助産所 2.0

行政の平均残業時間が34.1時間と最も多く、最も少ないのは助産所の2時間との結果でした。
職場により平均残業時間に大きく差があることがわかります。

職位による残業時間の違いは?

職位とは、役割を明確にするための職場でのポジションをさします。
権限や責任の範囲を明らかにして、上下関係や報告すべき上司をはっきりさせ、職場でのコミュニケーションを取りやすくするものです。

看護師の職場での職位によっても、残業量に差があります。
日本看護協会が行った「2021年 看護職員実態調査」をもとに、残業時間の平均を比較してみます。

<職位による残業時間の比較>
・非管理職(平均14.4時間)
・中間管理職(平均23.3時間)
・管理職(平均28.8時間)

看護師の職位は、看護主任・看護師長・看護部長などがあり、スタッフ数の多い職場ではさらに副主任・副師長・副部長を置くこともあります。
この中で、看護部長が最も上の立場で管理職にあたります。

管理職が最も残業時間が長い原因に、担当する職場の看護師の業務管理に加えて、看護師の教育・採用などの業務も担当していることがあげられます。
自分の部下にあたる看護師の残業時間を減らすため、自らが残業し、超過勤務を増やす傾向にあることも、管理職の残業時間が多い原因でしょう。

年齢による残業時間の違いは?

看護師の年齢によっても残業時間の長さに差があります。
この点も、日本看護協会実施の「2021年 看護職員実態調査」を参考に、年齢別の残業時間を比較します。

<年齢による残業時間の比較>
・20~29 歳(平均14.5 時間)
・30~39 歳(平均14.7 時間)
・40~49 歳(平均19.3 時間)
・50~59 歳(平均20.2 時間)
・60 歳以上(平均16.6 時間)

50~59歳が最も残業時間が長く、これは看護師としての経験が豊富になり職場で管理職につく人が多いためです。
業務量の調整や時間管理のできる立場ではあるものの、管理職の責任や負担から、超過勤務が増える傾向にある年齢です。

60歳以上の看護師も残業時間がある程度長いことから、年齢を重ねても看護師の仕事を続ける人は増えているとわかります。
しかし年齢とともに超過勤務は体力・精神のどちらにも負担が大きく、無理に続けると、健康面の問題が生じるおそれがあります。

残業が多い原因は?

看護師の労働環境により残業時間の長さは異なりますが、看護師の仕事そのものが持つ特性が残業時間が増える大きな原因でしょう。
この章では、看護師の残業が多くなりやすい原因について紹介します。

看護師の慢性的な人員不足のため

看護師は多くの職場で慢性的な人員不足の問題を抱えており、残業が当たり前になっている職場すらあります。
人員不足の職場では看護師ひとりが担当する患者数は多くなり、患者それぞれのケアにかける時間を十分に取れず、その結果残業になってしまいます。

また人員不足は休みの取りづらさにもつながり、予定があって休みたくても思うように休めず、中には休日に残業するケースもあるほどです。

交代制勤務の引き継ぎのため

夜勤のある職場では、2交代制または3交代制の勤務体制をとっており、業務の引き継ぎに時間が必要です。
夜勤スタッフから日勤スタッフへ、夜間に起きたトラブルや患者の急変の状況を正しく伝えるには、引き継ぎにどうしても時間がかかり、残業が発生しやすくなります。

日勤スタッフから夜勤スタッフへの引き継ぎも同様で、勤務時間中の業務が長引けばさらに残業時間も増えるでしょう。

看護記録など書類の作成のため

看護師の日常的な業務のひとつに、看護記録や医師の指示書など、書類作成や入力業務があります。
これらの業務は勤務時間内に終わらないケースが多く、残業になってしまいがちです。

勤務時間中は患者の対応に時間をさきがちなので、どうしても事務的な作業は後回しになり、残業してこなすからです。

急変対応のため

患者の容態急変はいつ起きるかわからず、勤務時間中に急変があった場合はすみやかな対応が必要です。
取り組んでいる業務の緊急性が低い場合、その患者のもとへかけつけて必要な処置をします。
担当患者ではなくても必要に応じて急変の対応にあたるため、看護師は残業が発生しがちです。

重症患者や高齢者が多い病棟ほど、急変対応の頻度は上がり、無病床のクリニックほど低くなります。

院内研修・勉強会のため

院内研修や勉強会は看護師のスキルアップに必要なものですが、勤務時間外に行うケースが多く、残業になります。
しかし全ての研修・勉強会に対して残業代を支給する施設は少なく、看護師が不満を抱く原因のひとつです。
新人研修も同様で、時間外の実施かつ残業代が出ないケースも多くなっています。

残業を減らす工夫や対策

看護師が残業時間を減らして働くには、個人で取り組める工夫と、施設など組織が行う対策が必要です。
看護師個人と職場の施設がともに行うと、残業時間の削減を期待できる対策を3つ紹介します。

業務を効率化する

残業時間を減らすために、毎日の自分の業務を振り返って効率の良さを確認しましょう。
毎回行う決まった業務を手際よく効率をあげてこなすと、時間短縮につながります。
新しい職場では一日も早く業務に慣れ、無駄を省いてこなせる手順を検討し、早めにできることはどんどん済ませましょう。
業務ごとに必要な時間をはかって管理すると、だらだら取り組むことを防げます。

効率の良い先輩を真似する

自分で業務の効率化に取り組んでも、うまくいかない場合があります。
どうしても時間短縮の方法がわからないときは、効率良く業務をこなす先輩や上司を参考にしましょう。
実践できそうな内容から真似をしてコツをつかみ、自分の業務に採用すると、効率アップにつながるはずです。

業務改善をお願いする

看護記録など書類作成関係の業務で残業時間を減らすには、施設側でデータによる管理・電子カルテ・音声入力システムなどを導入すると効率がアップします。
システムの導入は看護師個人でできることではないため、施設側へ依頼しましょう。

始業前や終業後の引き継ぎなどの情報収集をする時間も、勤務時間内にできるよう職場へ改善をお願いしましょう。
口頭での引き継ぎは時間を守らなくてもできるため、データ管理し決まった時間にのみ電子カルテへログインできるなどの対策を、施設側へ依頼します。

転職も一つの解決手段

残業時間を減らす工夫を行っても、思うように短縮できない場合もあります。
残業の多い職場は人員不足の傾向にあり、減らそうと思っても個人ではどうにもならないからです。
施設へ相談しても改善を期待できない場合は、転職もひとつの解決手段です。
転職をする際は、残業時間や待遇など希望する労働条件を決めてから取り組みましょう。
転職を決意した人、または興味があり検討したい人が考えておくと良い3点を紹介します。

情報収集

転職先を探すには、看護師業界の最新情報や転職事情の情報収集が欠かせません。
希望の労働条件の職場を見つけてスムーズに転職するには、看護師求人を扱うサイトなどを活用し新たな職場候補を見つけましょう。

求人票の情報は施設側が発信する情報のみなので、職場で働くスタッフや第三者からの評判も見ると参考になります。
働きながら次の転職先を探す場合は、休憩時間や休日を使うことも必要です。

キャリアの棚卸

看護師として転職するには、これまでの経験やスキルを整理し、自分の強みと弱みをまとめましょう。
すると得意な分野や自分に合った立場がはっきりしやすく、次の職場選びに役立ちます。
転職には履歴書や職務経歴書の作成も必要なので、記入するためにもキャリアの棚卸を早めに行いましょう。

転職エージェントの利用を検討する

転職エージェントの力を借りて新たな職場を探すことも、ひとつの方法です。
現在の職場で働きながら転職先を探したい場合、多忙で情報収集の時間の確保が難しくても、転職エージェントが代わりに行います。

転職エージェントは看護師業界の豊富な求人を扱っているだけでなく、転職に関するアドバイスや年齢・希望に合う転職先の提案・キャリアプランの相談など、幅広く転職活動をサポートします。
初めての転職活動でやるべきことがわからない人、ひとりでは転職先が見つかるか不安な人だけでなく、転職活動のプロからのアドバイスを聞いてみたい人にもおすすめです。

希望に合う転職先探しに対するプロからのアドバイスは、転職成功への近道です。
地元の静岡県で転職活動をスタートする人、転職活動が思うように進まない人は、20年以上の実績を持つ「アクタガワHRM」へ相談してはいかがでしょうか。
地域密着の強みを持つ転職エージェントで、転職にまつわる各種アドバイスや求人情報、職場情報も豊富に持っています。

まとめ

看護師の残業が多すぎる問題を解決するには、看護師が個人で取り組む方法や職場側が行う方法などさまざまな選択肢があります。
担当業務の効率化など個人でできる内容には限りがあり、施設側による改善策として、スタッフの適性配置・ワークライフバランスの導入・最新技術の活用なども必要です。

しかし人員不足の職場など、すぐに残業時間の改善が難しい場合もあります。
その場合は、転職して新たな職場でスタートを切ることもメリットのある方法です。

 

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