フィジカルアセスメント 看護現場で使える重要知識について

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フィジカルアセスメントは、健康状態全体をさすヘルスアセスメントの中で、身体状態をさすアセスメントです。

  • 「フィジカル=身体的な」
  • 「アセスメント=情報」

を意味する言葉で、看護師が患者を観察するにあたり重要な技術です。

2009年の看護基礎教育のカリキュラム改正では、「フィジカルアセスメント技術は看護師に欠かせない能力として教育内容に含める」と明記されています。

このページでは、フィジカルアセスメントの重要性や手順、注意点とポイント、具体例を紹介します。

正しいフィジカルアセスメントの知識をつけて、現場で役立てましょう。

 

フィジカルアセスメントとは?看護の重要知識

 

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フィジカルアセスメントは患者の身体的な情報を察知して、根拠ある見解を導き出し、必要な処置を行うために重要です。

なぜなら、担当の患者の様子がどこかいつもと違うと感じたとき、問診とフィジカルイグザミネーションを行って根拠を見つけられれば、見過ごすことなく適切な対処をとれるからです。 

24時間患者を観察する看護師は経験の積み重ねから、患者が口に出さなくても訴えに気づくことがあります。

全ての患者が苦痛や悩みを口に出して正確に伝えられるわけではなく、自覚症状がなく気づいていない場合もあり、日頃の患者の状態をよく知る看護師だからこそ気づけることもあるでしょう。

また、医師による診察やバイタルサイン測定では正常なものの、いつもとは何かが違うと看護師が思ったときにフィジカルアセスメントが役立ちます。

 

看護現場で使える:フィジカルアセスメントの手順

 

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看護師が知っておきたいフィジカルアセスメントの手順を順に説明します。

ここでは一般的な順番で解説しますが、部位により順番が変わる場合もあるため適切な手順を確認してから行いましょう。

 

フィジカルアセスメント手順①問診・スクリーニング

 

問診では患者に対し、自覚症状・既往歴・家族の病歴・生活歴を尋ねます。

多くの場合は問診票を事前に書いてもらい、そのあと直接会話をする中で自覚症状をもとに必要な質問を考えて聞き、より詳しく患者の身体情報を集めて評価します。

入院中で24時間状態の観察を続けている患者、毎週など定期的に通院する患者の場合、いつもと違う様子があるものの、本人に自覚症状がないときもこの段階で尋ねます。

問診とともにスクリーニングを行い、バイタルサイン測定(体温・脈拍・血圧・呼吸数)をします。

 

フィジカルアセスメント手順②視診

 

患者の全身を頭からつま先まで観察し、体の機能にも異常がないかやどのように症状が現れているかを確かめます。

異常を訴える部分またはその可能性のある部分の、位置・大きさ・形・色・動き・左右対称かを判断します。

患者の記入した問診票にもとづき、どこを診るべきかを的確に瞬時に判断する力が必要です。

患者を診察するときだけではなく、診察室へ入ってきた様子や入院中のベッドで横になっている様子などもあわせて観察し、異常を訴える部分から範囲を広げてチェックします。

 

フィジカルアセスメント手順③触診

 

患者が異常を訴える部分やその可能性のある部分へ人差し指・中指・薬指を使って触れて、皮膚の状態、具体的には異常部分の場所・大きさ・かたさ・動き方などをこの段階でチェックします。

触ると痛みを訴える場合があるので、痛みのないところから触診し、痛みのある部分は最後に確かめます。

異常のある部位により確認すべきポイントが異なり、例えば腹部の触診では肝・脾・腎の状態を確認するために、押して痛くないか・腫瘤がないか・腫瘤が大きくなっていないかを診ます。

 

フィジカルアセスメント手順④打診

 

内部の状態を知るために行う打診は、患者の体の表面を指や打診器などで叩いて振動や音を聞き、ガスがたまっていないかなどを診察します。

指で行うときは、右利きの人は左手中指を患者の皮膚へ密着させてから、第一関節付近を右手の中指で軽く2回ほど叩きます。

 

フィジカルアセスメント手順⑤聴診

 

聴診器を使って呼吸音・心音・腸音などを聞き、患者の体の内部に異常がないか確認します。

聴診器を使う方法を間接聴診法、異常のある部分に直接耳をあてて聞く方法が直接聴診法です。

聴診器にはさまざまな種類があるため、診察したい部分に合ったものを使い分けます。

 

看護現場におけるフィジカルアセスメントの注意点・ポイント

 

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看護の現場でフィジカルアセスメントを活かすには、診察したあとのケアにつなげ、後述するSOAPを活用してフィジカルアセスメント結果を記録に残すことも、内容の整理や治療方針の判断に役立ちます。

この2点について詳しく説明します。

 

フィジカルアセスメントを診察後のケアに繋げる

 

フィジカルアセスメントのひとつとしてバイタル測定がありますが、入院中の患者に毎朝行っているとルーティン化してしまい、数値チェックがおろそかになる可能性があります。

毎朝のバイタル測定で変化に気づけば早期に治療でき簡易な処置ですむため、診察後のチェックを怠らず、その後のケアにつなげましょう。

また、患者との会話で直接得た主観的な情報と、数値で得た客観的な情報の両方を比較することで、日頃との違いを見つけやすく早期発見につながりやすくなります。

 

フィジカルアセスメント:SOAP(ソープ)の活用

 

SOAP(ソープ)とは、以下の頭文字をとった言葉です。

  • 「S=Subject(主観的な情報)」
  • 「O=Object(客観的な情報)」
  • 「A=Assessment(アセスメント)」
  • 「P=Plan(プラン)」

患者の主な訴えとそれ以外に看護師が診察して得た情報であるSとOをもとに、看護師が感じた印象や意見をまとめ、今後の治療方針などを計画します。

患者からの訴えと体の状態から考えられることは複雑な場合も多く、情報をまとめて整理すると今後の最善の対策を立てる際に役に立ちます。

日本の多くの医療機関で看護記録の取り方にSOAPを採用しており、必要な4項目を埋めるだけでなく問題ごとに情報を整理して書くなど、書き方には工夫が必要です。

 

看護現場におけるフィジカルアセスメントの事例

 

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フィジカルアセスメントはどのように行うかイメージを持つために、実際の例を紹介します。

看護の現場でフィジカルアセスメントを活用する参考にしてください。

 

腹痛のフィジカルアセスメント

 

男性69歳、15年前に開腹胆のう摘出術を受け、9年前から糖尿病をわずらい内服治療を続けていました。

現在血糖コントロールのため入院加療しており、2日間おなかの張りを訴え、突然刺し込むような腹痛が起きて嘔吐しました。

他の症状としてへそを中心に腹部全体の痛みと膨満感があり、胸やけ・吐血・下血はありません。

この段階で腹痛・悪心・嘔吐の疾患に関する情報を収集しつつ、腹痛をやわらげる姿勢や嘔吐に対応する準備を整えました。

開腹手術の経験があることから、癒着の可能性も視野に入れてアセスメントを行います。

まず視診し顔色不良・前傾姿勢でうずくまっている・腹部の膨満あり・黄疸なし・四肢の浮腫なしと判断しました。

次に聴診すると腸音やや亢進、金属音がある様子から機械的レイウスの兆候を認めました。

そして打診にて腹部全体に鼓音があり、最後に触診すると腹部全体に圧痛がありました。

その結果診断を確定するための検査を準備しつつ、緊急手術に備えた準備も行いました。

(引用・参考元:症状別フィジカルアセスメント

 

発熱のフィジカルアセスメント

 

女性50代、既往歴と内服歴ともになしで、現在右大腿骨骨折により手術を行い、本日手術後1か月が経過したためシーネを取り除き、同日午後は積極的にリハビリを行いました。

連日娘が孫を連れて面会に訪れていますが、保育園に通う3歳の孫は咳と鼻水がありました。

その日夜、食事摂取量が少なく表情は普段と変わらないものの、やや顔色が赤く呼吸速度が上がっていました。

検温すると38.5℃で発熱があり、咳と喉の痛みは昨日からあると聞きました。

発熱以外に咳と喉の痛みが見られ、頻繁に面会へ訪れていた孫に感冒の症状があったことから、感冒の可能性が高いと考えられました。

発熱は肺炎の場合もありますが、呼吸苦など肺炎に関する所見はなく可能性はなさそうです。

そのほかの可能性を検討した結果、風邪の可能性が高く緊急性は低いと判断し、医師へ報告するとともに、今後熱型とバイタルサインの変化の観察を続けるとしました。

(引用・参考元:ナース専科

 

失神のフィジカルアセスメント

 

女性30代、検診で異常の指摘のない片頭痛があり、片頭痛に処方される漢方薬を服用中で、アレルギーはありません。

最終月経は5日前で最終の食事は午前のバーベキューでした。

深夜に友人と救急外来を訪れ、問診ではトイレで腹痛がし冷や汗が出て、気が遠くなり気がついたら壁にもたれかかっていたと答えています。

付き添いの友人は、扉を開けて助け数度呼びかけたところ目をさまし、そのときは顔色が悪かったがしばらくして回復したと言いました。

受診時の視診では異常なし、バイタルサインも異常なし、心電図も異常が見られませんでした。

気が遠くなったことは失神の症状であり、似た状態のてんかんではないかを疑いますが失神の前駆症状である冷や汗と悪心があったため失神の可能性が高く、緊急性は低いと判断されます。

(引用・参考元:ナース専科

 

まとめ:看護現場でフィジカルアセスメントを活用

 

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フィジカルアセスメントは患者の身体的な情報を読み取って診察や治療、ケアに活かす重要な技術です。

基本的な流れをくり返していると、流れ作業的にこなしてしまい、患者の変化を見落とす危険性があります。

そのため、毎回問診から始まる流れを、日々問題意識を持って取り組み、入院患者など常に観察する患者は普段と違う様子がないか確かめましょう。

フィジカルアセスメントは経験した分だけ対応力があがるので、先輩看護師について積極的に学ぶ、自分で事例を調べて目を通すなどしてみましょう。