デイサービス看護師の一日:仕事内容とスケジュールを徹底解説

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少子高齢化が加速する現代社会において、デイサービスは高齢者が安心して暮らし続けるための重要な在宅サービスになっています。そして、デイサービス看護師は、高齢者が住み慣れた地域で、その人らしい生活を続けるための重要な役割を担っています。

「デイサービスでの看護師の仕事は、具体的にどのような内容なの?」

「病院看護とは何が違うの?」

「自分のキャリアにあっているのだろうか?」

といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、デイサービスで働く看護師の役割や仕事内容、一日の流れ、求められるスキル、そして魅力ややりがいについて詳しく解説します。

デイサービス看護師の仕事に興味がある方に、自分に合った職場選びの参考にしていただける内容となっています。

 

デイサービス看護師の基本的な役割

デイサービスは、高齢者の方々が自宅での生活を継続しながら、日中を安心して過ごせる場所を提供する施設です。利用者は日中だけ施設を利用し、夕方には自宅に戻るため、通所リハビリテーション施設とも呼ばれます。

デイサービス看護師の主な役割は、利用者の健康管理や生活支援ですが、病院看護とは少し違うアプローチが求められます。

まず、デイサービスにおける看護師の役割は「治療」ではなく「生活の質(QOL)の向上」に焦点が当てられています。利用者がその人らしい生活を送り続けるためには、医療的な支援だけでなく、心理的・社会的なサポートも必要です。デイサービス看護師は、利用者の健康状態を継続的に観察し、体調変化にいち早く対応するだけでなく、利用者が自分らしい生活を送れるようリハビリや生活支援を通じてQOLの向上を支援しています。

以下に病院とデイサービスの看護師の違いをまとめます。

デイサービス看護師と病院看護師の違いを理解することで、デイサービスでの働き方が自分に合っているかどうか判断の参考にしてみてください。

病院の看護師 デイサービスの看護師
主な仕事 病気の治療、急性期のケア 健康維持、生活の質の向上
勤務時間 夜勤を含むシフト制が多い 日勤のみのことが多い
患者との関わり 短期間で多くの患者を担当 長期的に同じ利用者を担当
仕事の雰囲気 忙しい、緊張感がある ゆったりとした、アットホームな雰囲気

病院の看護師は、病気やけがの治療が主な業務になってしまいがちで急性期〜回復のケアが中心です。シフト制で夜勤もあり、緊張感のある環境で働くことが多いです。一方、デイサービスの看護師は、利用者の健康維持や生活の質を向上させることが主な業務です。勤務は基本的に日勤のみで、長期的に同じ利用者を担当するため、利用者と深い信頼関係を築きやすいのが特徴です。仕事の雰囲気は、病院に比べてゆったりとしており、アットホームな環境で働けることが多いです。

また、デイサービスでは、利用者の家族や介護者、地域の在宅サービス関係者と連携しながらケアを提供することが求められます。利用者が安心して在宅生活を続けるためのニーズを正確に把握し、デイサービス職員だけでなく、家族や他の在宅サービス提供者と情報を共有し適切なケアプランを調整する役割も担っています。

 

健康管理とバイタルチェック

デイサービス看護師にとって、利用者の健康管理は最も重要な業務の一つです。利用者の健康状態を把握し、体調の変化にいち早く気づくためにバイタルサインの測定は欠かせません。バイタルサインとは、体温、脈拍、呼吸状態、血圧などの生命兆候を指します。これらの測定は、通常、利用者が来所する午前中に行われます。

バイタルサインの測定結果に基づいて、入浴や運動、食事や排泄などの活動が安全に実施できるかどうかを判断し、必要に応じてサポートを行います。たとえば、血圧が高い利用者には、激しい運動を避けるようアドバイスしたり、体調が悪い利用者には、活動量を軽減するなど1日の過ごし方を調整し安心して休養できる環境を提供したりします。

利用者の健康状態に応じて、かかりつけ医や家族、介護者に連絡し、適切なケアを提供するための情報共有もデイサービス看護師の役割です。

また、バイタルサインの測定に加えて、利用者の全身観察、食事や排泄の管理、口腔ケアなど、さまざまな健康管理業務も。これらの看護ケアを通じて、利用者の生活習慣や健康状態を把握し、安全でその人らしい生活が続けられるよう、QOLの維持向上をサポートします。

服薬管理と医療処置のサポート

デイサービスでの服薬管理と医療処置は、利用者の生活をサポートするために欠かせない業務です。デイサービス看護師は、利用者が自宅から持参した薬を医師の指示に基づいて管理します。利用者が正しく薬を服用できるように、服薬スケジュールや投薬内容を把握し、薬の効果や副作用症状に注意しながら観察します。

デイサービス看護師は、服薬管理だけでなく、医師の指示に基づいてデイサービス利用中に必要な医療処置も行います。たとえば、創傷の処置、インスリン注射、胃ろうの管理、尿管カテーテルの管理などがあげられます。これらの医療処置は、在宅でのケアを想定した手順や必要物品となり病院で行うものと異なる場合もあるため看護師としての専門知識とスキルが求められます。未経験の医療処置がある場合は、デイサービス管理者や先輩看護師のサポートを受けながら、正しい知識とスキルを身に付けましょう。また、利用者の安全を最優先に考え、処置中に異常があればすぐに対応できる環境を整え、安全管理を徹底しましょう。

 

緊急時の対応とリスク管理

デイサービスでは、利用者の健康状態は日々変化するため、常に緊急事態が発生する可能性があります。緊急時の対応は、利用者の生命を守るために非常に重要です。転倒による外傷、疾病の急性増悪、誤嚥、感染症、アレルギー反応やショック症状などが発生した場合、まずは冷静に状況を把握し、利用者本人や周囲の利用者の安全を確保することが最優先です。

たとえば、利用者の意識レベルが急に落ちた場合は、すぐに119番通報し、救急隊が到着するまでの間に応急処置を行います。その後、かかりつけ医や家族に連絡し、状況報告と指示を仰ぎます。また、発生日時や対応内容をしっかり記録し、今後のリスク管理に役立てます。

デイサービスでのリスク管理は多岐にわたり、転倒防止、誤嚥防止、感染症対策、薬の誤飲防止などが含まれます。たとえば、転倒防止のためには、段差や滑りやすい場所を確認し、環境を整え、利用者の移動時にサポートを行います。誤嚥防止のためには、個々の嚥下機能に応じた食事の形態を調整したり、嚥下体操を実施したりする対策が取られます。

安全なサービスを提供するための環境整備や緊急時の対応マニュアルの作成、職員のトレーニングなどを行う際には、看護師としての医療安全の視点が欠かせません。デイサービス職員で統一した対応ができるように定期的に確認することが大切です。

 

デイサービス看護師の1日のスケジュール

デイサービス看護師の1日は、利用者の健康を支えるさまざまな活動で構成されています。ここでは、一般的なデイサービスの1日の流れを紹介し、具体的な業務内容について詳しく解説します。

 

朝の準備と利用者の受け入れ

デイサービス看護師の朝は、利用者の方々を笑顔で迎え入れることから始まります。利用者が施設に到着すると、看護師はまずバイタルサインを測定し、体調や様子を確認します。コミュニケーションをとりながら、利用者の気分や体調の変化を把握し、その日のケアプランに反映させます。

また、利用者が持参した薬や医療処置に必要な物品の確認も行います。服薬管理や医療処置が安全に実施できるように、必要な物品を準備し、環境を整えることも看護師の朝の業務です。利用者が安心して1日をデイサービスで過ごせるように準備しましょう。

 

午前中の健康チェックとレクリエーション

午前中は、利用者の健康チェックを行った後、レクリエーションや機能訓練を通じて、利用者の心身のリフレッシュを図ります。例えば、歌や体操、ゲームや手作業などの活動を行い、利用者と楽しみながら体を動かします。集中力や記憶力を高めるための脳トレーニングなども取り入れられます。

デイサービスでは、利用者がリハビリや運動を通じて身体機能を維持・向上させることを目的としたプログラムが行われています。看護師は、利用者の身体状況や利用目的に応じて、歩行訓練やバランス運動などを指導しながら見守りサポートします。利用者が自宅で自立した生活を続けるための支援を行いましょう。

また、デイサービス利用時に入浴を希望する利用者には、入浴前後の体調管理や医療処置を行い、安全に入浴できるようサポートします。入浴中の見守りや必要に応じた介助も看護師の役割です。入浴前後には、利用者の状況に合わせて、体重測定や全身の皮膚状態の観察、創傷処置なども計画的に行いながら健康維持のためのサポートをします。

 

昼食と午後の活動のサポート

昼食の時間には、利用者に栄養バランスの取れた食事を提供し、食事介助や見守りを行います。利用者一人ひとりの咀嚼や嚥下状態に合わせて、きざみ食やミキサー食など、適切な食事形態で準備し、安全に食事ができるようにサポートすることが大切です。特に嚥下機能の低下がある利用者には、食事中のむせこみや誤嚥を防ぐため、姿勢の調整や嚥下体操の指導を行います。

食事摂取量を観察し、利用者の食欲や健康状態に応じて、食事の量や味付けを調整することもデイサービス看護師の役割です。利用者が毎日安心して食事を楽しむことは毎日の健康維持につながるのでより細やかな配慮でサポートしましょう。

午後には、利用者がリラックスし、心地よい時間を過ごせるように、さまざまな活動を提供します。利用者がソファでくつろぎながら、音楽を聴いたり、読書をしたりするなど、静かに過ごせる時間を提供するのが一般的です。

利用者の体調や活動量に合わせて、手芸や絵画などの趣味活動をサポートして集中力を養ったり、施設周辺を散歩して外出を楽しんだりすることも。季節の移り変わりや自然を感じられるイベントを企画すると利用者の楽しみや生きがいの支援にもなります。

外出の際には、事前にルートを確認し、緊急時の対応策を講じるなど、安全面に十分配慮しながら、利用者が楽しく充実した時間を過ごせるようサポートします。

こうした利用者の活動のサポートを通して、利用者の人生に寄り添い、生活歴に合わせた充実感を感じられる時間が過ごせるように日々の生活を支援しましょう。

 

夕方の見送りと業務終了の準備

夕方は、利用者の方々が日中の活動を締めくくり自宅へ戻る大切な時間です。職員は、利用者の体調や持ち物を確認しながら安全に帰宅できるよう支援します。

季節や天候に合ったアウターや履物の確認、次回来所の予定、体調の変化や帰宅方法に合わせて安全に配慮しながら、1日を気持ちよく終われるように丁寧な声かけを行います。また、送迎に関わる場合は、家族と会話の機会を設けるなど、利用者と家族とのコミュニケーションを円滑にするサポートも大切です。

利用者が帰宅後の施設内では、業務終了までに施設全体の安全確認や記録の整理が行われます。清掃や消毒などの感染予防対策、翌日の準備や業務報告など、翌日のサービスをスムーズに行うために大切な業務です。

また、職員同士が協力し、利用者の1日の活動や様子を振り返りコミュニケーションを取りながら情報共有を密に行うことで、利用者に提供するサービスをより効率的で質の高いものにしましょう。

 

デイサービス看護師の魅力とやりがい

デイサービス看護師の仕事の魅力は、まず利用者と時間をかけて長期的な人間関係を築き、その人らしい生活を支えることができることです。利用者の健康状態を継続的に観察し、日々の変化に寄り添うことで、利用者やその家族が安心して生活を続けられるような支援がやりがいです。

また、デイサービス看護師は、医療行為だけでなく、リハビリテーションやレクリエーション、生活支援など、幅広い業務に関わるため、看護師としてのスキルを幅広く伸ばすことができます。

デイサービスは夜勤がなく、残業も少ないため、ワークライフバランスを保ちながら働くことができます。子育てや介護など家庭との両立を考える看護師にとっては、とても働きやすい職場環境です。アットホームな雰囲気の中で多職種との連携を通してチームで協力しながら仕事を進めることができる点もデイサービス看護の魅力の一つです。

 

利用者との信頼関係の構築

デイサービスの看護師にとって、利用者との信頼関係を築くことは、質の高いケアを提供するために不可欠です。信頼関係の構築には、まず利用者の話にじっくりと耳を傾けることが大切です。利用者がどのような思いや悩みを抱えているのかを理解し、共感的な態度で関わると、信頼関係の土台を築くことができます。また、丁寧な言葉遣いを心がけながら笑顔で接して、利用者が安心感を得られリラックスできる環境を作ります。

さらに、信頼関係を深めていくためには、時間やタイミングの約束をきちんと守ることが求められます。たとえば、予定していた活動やケアを確実に実施したり、利用者のペースに合わせて対応したりすることで、信頼を高めることができます。利用者が焦らず、自分らしく過ごせるようなサポートを提供しながら信頼関係を深めましょう。

信頼関係は、日々の小さな積み重ねです。デイサービス看護師は長期的に同じ利用者と関わることができるので、焦らず、丁寧に、時には根気強く接し続けながら、利用者が安心して過ごせる環境を整えていきましょう。また、職員間で一貫したケアを提供することも、利用者の安心感をさらに高めます。統一された方針や手順でケアを行い、信頼関係の強化につなげましょう。

 

多職種との連携とチームワーク

デイサービスでは、看護師、介護士、ケアマネジャー、理学療法士、作業療法士など、多職種が連携してケアを提供します。多職種連携のメリットには、包括的なケアの実現、情報の共有、問題解決能力の向上、そして利用者の安心感向上などがあげられます。

職員間のチームワークを向上させるためには、共通の目標設定や定期的なミーティングなど、オープンなコミュニケーションが重要です。看護師として、介護やリハビリのスタッフと協力し、利用者にとって最適なケアを提供するために、積極的に情報を共有しましょう。そして、必要時にはかかりつけ医と連携をとりながら、健康問題のサポートや必要な治療の支援を行う窓口になります。医療ケアが必要な利用者にもデイサービス職員チーム全体で関われるようになるためのスキルアップや利用者の満足度の向上に貢献しましょう。

 

まとめ:デイサービス看護師として働く意義

デイサービス看護師は、地域社会で生活する高齢者の方々の人生に寄り添い、毎日の生活をより豊かにするやりがいのある仕事です。関わる利用者がリハビリテーションを通して再び自分の力で歩けるようになったり、レクリエーションで笑顔を取り戻したりする経験は、デイサービス看護のやりがいです。

デイサービスでは、夜勤がなく、残業も少ないため、プライベートの時間も大切にできます。看護師として働きながらライフワークバランスが取りやすい環境です。また、ケアマネジャーなどへのキャリアアップを目指すことも可能なため、地域社会で看護師として貢献したい、自分自身の成長につながる職場を選びたいと考えている方にとって、デイサービス看護師はとても魅力的な選択肢です。

デイサービス看護師のやりがいを感じながら、地域の高齢者の方々の生活を支える一員として活躍してみませんか。利用者との信頼関係を築き、多職種との連携を深めながら自分らしい看護師キャリアを積み上げていきましょう。

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